筑波大学推薦入試で,4技能外部英語検定試験を導入

筑波大学推薦入試で,4技能外部英語検定試験を導入
 筑波大学のホームページに,次のように掲載されています。

 「筑波大学は,自立して世界的に活躍できる人材を育成するため,本学の教育を受けるのに必要な基礎学力を有し,探究心旺盛で積極性・主体性に富む人材を受け入れることを全学版アドミッション・ポリシーとしています。B1(CEFR)相当以上の英語4技能はそのために必須のスキルです。」

 平成30年度(2018年度)入試から推薦入試で,英語4技能外部検定試験を導入し,B1(CEFR)相当以上で加点されます。B1(CEFR)相当以上とは,英検では2級以上に相当します。すでに医学群医学類では,平成29年度(2017年度)から導入されていて,C1(CEFR)相当以上(英検では1級以上)です。

   


 英語4技能試験情報サイトには,次のように紹介されています。 → こちら

学群,学類のアドミッション・ポリシーに適した形で,入学試験に英語4技能外部検定試験を導入する

 筑波大学は,2018年度推薦入試に英語4技能外部検定試験を導入すると発表しました。2019年度入試からは,一般入試(個別学力検査)にも取り入れる予定です。導入決定に至る背景と狙い,筑波大学が推し進める入試の国際化対応などについて,伊藤眞 副学長(教育担当)にお話をうかがいました。

英語4技能外部検定試験導入は,グローバル化に向けた入試改革の一環

 筑波大学では2018年度推薦入試に英語4技能を測る外部検定試験(Cambridge English,英検,GTEC CBT,IELTS,TEAP,TOEFL iBT,TOEFL Junior Comprehensive,TOEIC/TOEIC S&W)を導入する予定です。

 CEFRのB1(自立した言語使用者)レベル相当以上のスコアを持つ高校生は,推薦入試の総合評価に反映します(一部学類を除く)。

 これは,本学を志望する学生が,一定以上の英語力を有している場合,その能力を総合評価に反映するという意味であり,出願資格にしているわけではありません。また,医学類はより高い基準を設けて学生を選抜する必要があるという判断から,B1ではなくC1(熟練した言語使用者)に設定し,一年早く導入することにしています。2019年度から一般入試(個別学力検査)でも導入する予定であり,こちらも全学的に実施する計画です。

 社会のグローバル化が急速に進む中,従来の「読む」「書く」という限られた能力だけではなく,「話す」「聞く」を加えた総合的な英語力を求める声が高まってきました。本学は2013年に全学版アドミッション・ポリシーを「筑波大学は,自立して世界的に活躍できる人材を育成するため,本学の教育を受けるのに必要な基礎学力を有し,探究心旺盛で積極性・主体性に富む多様な人材を受け入れます。」と設定し,全学学群入試改革検討委員会を設置してグローバル化に対応した入試改革を進めています。2015年度入試からは国際バカロレア特別入試をスタートさせており,今回,入試に英語4技能外部検定試験を取り入れるのもグローバル化に向けた入試改革の一環と位置付けられています。

英語4技能外部検定試験を学群・学類のアドミッション・ポリシーに応じて適切に活用する

 今回の英語4技能外部検定試験導入は,推薦入試から段階的に実施し,導入方法も「総合評価に反映する」という形になっています。これには理由があるといいます。

 公募制推薦入試の場合,高校が評点化した数値に基づいて英語力を評価してきましたが,この数値のみで4技能の能力を適切に評価できるのかという問題意識は従来からありました。また,今後,高校の教育現場でも,英語4技能外部検定試験の受験が広く浸透していくことが予想される状況ですので,まずは推薦入試からはじめて,状況を見ながら一般入試へ導入を広げていこうという判断となりました。

 推薦入試における英語4技能外部検定試験の活用法は,学群・学類によって異なります。本学は文系・理系のほかに,医学系,体育系,芸術系など多様な学群・学類を有しています。そのため,一律のルールをつくって運用するのは適切ではないと考えます。学群・学類にはそれぞれのアドミッション・ポリシーがありますから,それに適する形で総合評価に反映することになるでしょう。たとえば,一定以上のスコアを有する場合,スコアに応じて加点するというケースも考えられますし,あくまで参考程度にとどめるというケースも考えられます。ただし,学群レベルではある程度,統一する方向で調整を進めています。

 一般入試(個別学力検査)の場合も,求める人材像や英語力が学群・学類によって異なりますから,英語4技能外部検定試験を評価に反映する形もさまざまになると思います。特にセンター試験が廃止となり,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入が予定されていますが,その評価テストが具体的にどのようなテストになるのか,まだ流動的な現状では判断ができない要素があります。こうした動きを見ながら方向性を検討していく予定です。

[ 2017年07月27日 ]