早稲田大学が「新思考入試」を導入で,地域貢献人材の育成をめざす

早稲田大学が「新思考入試」を導入で,地域貢献人材の育成をめざす
 早稲田大学が2018年度入試から,「新思考入学試験(地域連携型)」という新しい方式の入試を実施する。「新思考入学試験」は,高校までの学習や活動などを通して地域に貢献したいという意識を持ち,卒業後も地域の発展に寄与することを志す学生が対象の入試である。

 早稲田大学は,総合プラン「早稲田ビジョン150」に基づく改革で,グローバル人材の育成をめざしている。これは,語学力を駆使して海外で活躍するといったグローバル人材だけを意味するものではない。国際的なビジネスの場で異なる背景を持つ人々と交渉し,一つにまとめ上げ,彼らをリードできる地域貢献人材を意味するものである。


 昨今,東京への一極集中を防ぎ,地方創生のために,地元の大学に進学させ,そのまま地元に就職させようとする動きがみられる。早稲田大学の新思考入試は,このことに対して警鐘を鳴らしている。地域のリーダーとなるべき人が,己が地域しか知らなくて,大きな変革がなせるのだろうかという問題提起なのである。


 英国の世界的な高等教育専門調査会社QS社が発表している「QS Graduate Employability Rankings 2017」で,早稲田大学が昨年に続き高い評価を得た。評価項目は雇用者からの評価,卒業生の活躍,主要企業との共同研究実績,卒業生の就職率などで,早稲田大学は世界26位,昨年の33位から着実にランクアップした。アジアでは6位,国内では2年連続の1位となっている。

 地域への貢献の仕方は学生の専門分野によって異なるが,これについては各学部がそのカリキュラムに沿って専門的知識を教授する。一方,大学はより広い観点から基盤的な力量を醸成することに責任を持つ。専門性のたて糸と人間的力量のよこ糸を意識的に交わらせることで,大学教育における役割分担を明確にする意義も持っている。入試方法の改革にとどまらず,教育プログラムの開発から大学ガバナンスに至るトータルな変革こそが,新思考入試で早稲田大学がめざすところである。

[ 2017年08月16日 ]

   

 新思考入試の出願は,8月21日(月)から始まる。